ツール・ド・フランス 勝利の礎

ツール・ド・フランス 勝利の礎

ツール・ド・フランス 勝利の礎

ランス・アームストロングとツール7連覇を達成した監督時代の逸話。本人と父親とのエピソード。選手時代のエピソード。自分自身の存在証明を達成したコンタドールのツール総合優勝、それぞれの話がクロスしてチームの勝利の掟、人生の成功の掟が何たるかを表現している。

●ランスとの絆。
現役時代を病気前のランスとヨハンは少しの期間、共有している。ヨハンが当時の王者インドュラインをツールのステージにおいて一対一の争いで負かした姿や、高速の下りで落車して崖から落ちてもなお、前を行く集団をおっかけた姿など、勇敢なヨハンを知っていたランスは自分のチームの監督にヨハンを推薦する。
そして、ヨハンは癌から復帰間もないランスに対して「ツールで総合優勝しよう」との無謀とも取れる目標を口にする。

ランスのチームメイトがツールで落車し死亡した。失意のランスは競技を棄権することも考えていた。しかし、翌々日のステージで早すぎるタイミングのアタックをしかけそのままゴール。ヨハン自身が父親の死に直面した際に体験したような見えない力が働いたかのような常識はずれの逃げをランスもやってのけた。ヨハンは自分の体験をランスにレース中に自然と打ち明ける。お互いプロのライダーであり激しい戦いの最中だから、感傷的な話などしない。しかし、勝利を追及する者同士で心の奥底でつながっている存在であることをヨハンは感じたのであった。

●アシスト役、ライプハイマー
ランスの名アシスト。ランス後のエースと目されていたライプハイマーは新人コンタドールのアシストに回ることになってしまったがその役回りをチームの雰囲気を崩すことなく全うする。

●「勝利を手にしようとして、全てを失ったということを心から誇りに思っている」
2007年ツールにて、2位、3位を守るのではなく、あくまでも総合優勝するための作戦をヨハンは貫く。そして若きコンタドールと最高のアシストライプハイマーはヨハンの指示の元、全力をもって走る。しかし結果はラスムッセンに競り負ける。チームが落胆したその日にヨハンはシャンペンを用意し語る。

●「将来、あなたの人生を変えることになるのは、どの勝負なのか。その答えはわからない。だから一つの一つの勝負に闘う意味がある。家庭でのささやかな成功から、世に広く知られるサクセスストーリーまで、どんな勝利でも、後に大切な意味を持つようになることがある。そしてその時、あなたはその場限りの勝者から生まれ変わるのだ。尊い、真の勝者へと。」