ただマイヨジョーヌでのためでなく

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●子供時代のエピソード
母子家庭に育ったランス。本当の父親、暴力的な再婚相手、どちらとも父とは思わず、いつも応援してくれた母への感謝と愛を書き綴っている。
水泳、トライアスロンから自転車競技へ没頭していく。交通事故を起こして、縫うほどの傷を負ってもすぐ退院してレースに出場する天然でたくましい少年。

●癌との闘い
膀胱、頭部、肺、に転移したガンに突然襲われる。生存率は10%以下。
告知から入院生活、長い放射線治療、再発への恐れ、復活、どの段階をとっても緊迫感、絶望感が生々しく伝わってくる。
友人、恋人、母親、などに支えられガンに打ち勝っていく。

自分の病気に対してインターネットや書籍を通じて徹底的に調べ対抗する姿や、何人かの医師を通じて自分にあった治療法にたどり着くところなど単に神がかりで病気を克服したとはとてもいえない。彼の強いパーソナリティーを根底に、病気に打ち勝とうという強い意思がなせた偉業といえる。


●ロードレースの世界へ復活
周りの人たちの支え、医師の太鼓判もあり不可能と思われたロードレースの世界に舞い戻る。
しかし、復活まもないレースで突然リタイアしてしまう。心の復活を待つ必要があったのだ。
闘病生活中、もし病気が治ったら一日一日を大切に生きようと思ったこともあるが、現実はそうではない。人間として生きていれば当たり前に訪れる課題が毎日やってくる。そんな言葉はリアリティの塊だ。体験した人しか言えない言葉である。

アメリカに戻って何もしない日々を送っていたランスは友人やチーム、妻の言葉にまたもや支えられトレーニングを再開する。そのトレーニング中のある日心の復活を果たす。その後彼はツール制覇へと歩み始める。