シリコンバレーから将棋を観る

シリコンバレーから将棋を観る―羽生善治と現代

シリコンバレーから将棋を観る―羽生善治と現代

「高速道路」論
●現代の情報化社会を踏まえて大きく変化した将棋界をあらわした言葉。将棋界だけではなく現代を写す言葉となる。
●ネット環境の充実によって知識や情報が均一になり、時間や場所の制約を受けずに「没頭」することができればある程度の経験や実力をつけることができる。しかしその先には、大渋滞が待っている。
●創造性以外は、手に入れられる時代。何もかもがコモディティ化していく時代。

羽生の「量が質に転化する」という考え
●雪だるまのように、どんどん蓄積して、どんどん分析する。その過程で驚くイノベーションが起こる。
●グーグルの思想と同じ。「世界の情報を整理し尽くす」。(ビジネスモデルはあとからついてくる)



ビジョナリーである羽生義治
●10年前以上に現代将棋を「変わりゆく現代将棋」で予見していた。定跡を序盤に翻り検証する文章において、定跡にはない、これまでに見たことのない局面の勝負になっていくことを示唆しているものだった。
●上記の予見は、インターネットが普及(インターネット将棋、膨大な棋譜などのデータ閲覧)し、知のオープン化が実際となる前の段階でのこと。
●「勝つこと」と「知のオープン化」(上記紙面など)を同時に成し遂げることができる才能。

「構え」をつくること
●著者はインターネット観戦記という新しい試みをする前に、「構え」(準備)つくった。
●過去の将棋界の言説などをウェブ上に記録しておき、いつでも取り出せるようにしておいた。

羽生への祝辞
●インターネット社会をドッグイヤー(7年)という言葉で表すが、日進月歩の革命をしている将棋界は将棋イヤー(14年)といえる。
●その世界で17年も王座にいる羽生は過去の時代に17年王座にいたこととはまったく意味が違う。
●日本が誇る知性は産業界ではなく、将棋界にいる。研究と勝負の積み重ねで結果として表現していることは、社会の情報についての最先端の在り方を表現している。